世界的な医薬品開発業務受託機関(CRO)でJSRのライフサイエンス事業のグループ企業である Crown Bioscienceは、Indivumed GmbHのサービス事業であるIndivuServ事業を買収する契約を締結したことを発表しました。両社間の株式譲渡契約(SPA)は2022年12月に締結されており、一般的な買収完了の前提条件が充足されたことを確認したのち、2023年4月に取引完了する予定です。
2002年にドイツで設立されたIndivumed GmbHは、臨床生体試料の提供および解析において業界をリードし、世界的に高い評価を受けています。本件取引に際して、IndivumedはIndivumed TherapeuticsおよびIndivumed Servicesという2つの事業体に分割されます。 後者がIndivumed GmbHのIndivuServ事業部門であり、ドイツ・ハンブルクと米国メリーランド州フレデリックにある関連ラボの業務およびスタッフを全て継承してCrown Bioscienceの100%子会社となります。なお、IndivuType事業を担うIndivumed Therapeuticsは、高品質の生体試料をマルチオミクスデータに変換する画期的な事業を継続するとともに、臨床分野の国際パートナー企業と協業し、がん領域におけるデータおよびAIを活用した治療法開発に注力します。
Crown BioscienceによるIndivumed Services買収には、専門的知見をもとに選別された100万件近くのサンプルおよび関連する臨床データを保管する独自のバイオバンクと、米国、欧州、アジアにおける60以上の臨床部門からなる幅広いネットワークが含まれます。このネットワークは、Indivumed独自の標準作業手順書(SOP)に従って採取された包括的な臨床データに紐づけられた外科処置の生体試料および血液サンプルへの直接的なアクセスと管理が可能になるだけでなく、比類のない高品質サンプル採取実現を通じてマルチオミクス解析およびモデル開発に寄与します。 また、本ネットワークにより、Crown Bioscienceのバイオマーカー開発サービスや、市場をリードする患者由来異種移植(PDX)、生体外患者組織(EVPT)、in vitro腫瘍オルガノイドのプラットフォームのさらなる拡大が可能になります。
Indivumed Therapeuticsは、欧州、米州、アジアの主要がんクリニックとのグローバル規模の臨床協力を継続し、独自のマルチオミクスデータベースと高度なAI分析を活用して、新規ターゲットとバイオマーカーの特定と検証に注力し、患者ひとりひとりに最適なものとなるようカスタマイズされたがん治療薬の開発を目指します。
更に本契約の一環として、Indivumed TherapeuticsとCrown Bioscience、Indivumed Servicesは、さらに幅広いサンプルへのアクセスとの実現およびCROサービスの提供を含む複数年の戦略的パートナーシップに合意しています。Indivumedグループの創設者兼CEOであるHartmut Juhlは、Crown Bioscienceの科学諮問委員会メンバーに就任する予定です。
Crown BioscienceのCEOであるアーミン・スプーラ Ph.D.は、本買収について次のとおり述べています。「Indivumed Servicesの買収は、前臨床研究と臨床研究のギャップを埋めるための優れた選択肢を顧客に提供するため、トランスレーショナルリサーチのプラットフォームを拡大するというCrown Bioscienceの取り組みを進展させるものです。Crown Bioscienceは、Indivumed Servicesの優秀なスタッフの皆さまを歓迎し、我々の新しい関係の長期的な可能性を拡大していくことに期待しています。」
Indivumedグループの創設者兼CEOであるProf. Dr. Hartmut Juhlは、次のとおり述べています。「一流の CRO であるCrown Bioscienceとの戦略的パートナーシップに期待を膨らませています。Indivumedは20年にわたり、CROサービスと独自の研究開発活動の両面から、プレシジョンオンコロジー(精密腫瘍医療)の発展を牽引してきました。本件取引により、Crown Bioscienceのがん領域研究開発力を強化することで、私たちはデータ解析主導の医薬品・診断薬の開発に従来以上に集中することができます。即ち、Crown BioscienceとIndivumedは、プレシジョンオンコロジーを推進する強力な企業体を生み出すことになります。さらに、私の故郷であるハンブルクが、がんバイオテクノロジーの主要拠点として台頭しつつあることに、大きな誇りを感じています。」
Crown Bioscience は JSR ライフサイエンスの一員であり、オンコロジー、がん免疫、免疫媒介炎症性疾患 (IMID) 分野における、前臨床研究およびトランスレーショナル研究の世界的な CRO 企業です。Crown Bioscience はHUB の技術により樹立された腫瘍オルガノイドを用いたサービスや、世界最大の商業向けPDX コレクションを有しています。Crown Bioscience は、より良い薬剤候補を患者に届け、患者が適切なタイミングで適切な治療を受けられることを支援します。Crown Bioscience は 2006年に創業され、米国、欧州、アジアにおいて10カ所の事業所を有します。詳細情報は、 www.crownbio.com をご覧ください。
Indivumedは、がんの複雑なメカニズムを解明し、プレシジョンオンコロジーを推進するというミッションをもとに、世界で最も包括的なマルチオミクスデータと豊富な医療経験、バイオインフォマティクス専門知識、AI統合の高度な分析技術を融合する企業です。グローバル規模の臨床ネットワークにより、何千もの患者のサンプルを標準的な手法で収集と分析を行い、事業分野横断的に生体試料の品質担保を実現しています。当社の緻密かつ質の高いデータを、当社の確かな製品およびサービス内容と組み合わせることで新たなインサイトを生み出し、がん研究を促進しています。詳細情報は、www.indivumed.comをご覧ください。
Contact details
-
- Missy Bindseil
-
JSR Life Sciences Company Inquiries
Director, Marketing & Communications - mbindseil@jsr-nahq.com
-
- Louise Stenson
-
Crown Bioscience Company Inquiries
Communications Manager - louise.stenson@crownbio.com
Related topics
Related news
Indivumed Servicesのハンブルク拠点が米国臨床病理医協会 (CAP) の認定を取得
JSR株式会社のライフサイエンス事業のグループ企業であるCrown BioscienceのIndivumed Services GmbHは、同社ハンブルク拠点が米国臨床病理医協会 (CAP) からラボ認定を受けたことを発表しました。業界の代表的基準として認知されているCAP認定は、臨床生体試料の試験において最高水準の品質、精度、一貫性を満たし、維持している一流のラボに与えられます。
JSRグループのCrown BioscienceとHanXバイオファーマ社の共同研究がNature誌のScientific Reportsに掲載されました
JSR株式会社のライフサイエンス事業のグループ企業であるCrown Bioscienceは、独自の幅広い前臨床モデリングのポートフォリオで、HanXバイオファーマ社(以下「HanX社」)とFDA治験新薬(IND)申請に向けて開発を進めてきました。
Crown Bioscience、Indivumedのサービス事業およびバイオバンクのサポートに関する取引完了を発表
世界的な医薬品開発業務受託機関(CRO)でJSRのライフサイエンス事業のグループ企業であるCrown Bioscienceは、Indivumed GmbHのIndivuServ事業部門の買収を2023年3月31日に完了したことを発表しました。この取引により、Indivumed Services GmbHとなった新会社はCrown Bioscienceの100%子会社となり、ドイツのハンブルグ...
Crown Bioscienceがシンガポールに新研究所を開設、 現地にコマーシャルパートナーを設立
世界的な医薬品開発業務受託機関(CRO)であるCrown BioscienceとJSRライフサイエンスは、前臨床およびトランスレーショナルながん創薬・開発に取り組むグローバルおよびシンガポール国内のバイオテクノロジー企業、製薬会社への支援を拡大するため、シンガポールに新しい拠点を開設したと発表しました。